心理学(恋愛/ビジネス)
メンタル
やる気の心理<外発的動機づけ&内発的動機づけ>
心理コラム⑲「やる気の心理」
やる気とは?心理学では「達成動機」と言います。心理学者マレーは「達成動機とは、難しいことを成し遂げること。障害を克服し、高い水準に達すること。他人と競合し他人をしのぐこと。才能をうまく使って自尊心を高めること」つまり、難しいことも高い水準を目指して自分の力でやり遂げることです。それでは、やる気はどこから湧いてくるのか?やる気には2種類の領域の動機づけが存在します。
<内発的動機づけ>
例えば、社員のやる気を高める場合「新規事業を任せて刺激を与えるなど」
「実行しようとしている事に対してやる気や興味を持ち行動を起こす」のが内発的動機づけ
<外発的動機づけ>
例えば、社員のやる気を高める場合「給料を増やす。ボーナスを奮発するなど」
「実行するに見合う報酬(賞、お金など)や罰によって行動を規定しようとする」のが外発的動機づけ
例えば、勉強しない子供にたいして「叱ったり」「ほめたり」「報酬」を与えたり、外の働きかけによってやる気を引き出す外発的動機づけは一時的に効力を発揮しますが、報酬がないと以前よりやる気が出ないです。子供は「勉強しなかったら怒られる」と仕方なく勉強をしているのは、親を安心させるために、見せかけのやる気で、本当のやる気ではないので長続きしません。やる気を出し続けるには内発的動機づけと外発的動機づけが合わさることです。
●外発的動機づけに大切な要素●
アメとムチ理論です。叱るにしてもほめるにしても、相手の自尊感情(人格や欠点などを否定することなく自分を好ましいと思う感情)に気を配ることが大切です。子供の自尊感情を育むのは、親の温かい態度です。叱る時も、真剣に愛情を持って何が悪いか説明をして、しっかり叱ることです。ほめる時も、同じように理由を説明してほめることです。叱るだけでは子供は受動的になり、ほめるだけでは慢心につながります。自分は価値ある存在であるという自尊心が自信をつけさせ、物事に積極的に取り組めるのです。もうひとつは、期待を持って接することです。親や教師によって子供の成績が向上する心理効果ピグマリオン効果(教師期待効果)です。心理学者のローゼンサールとジャコブソンが教師の抱く生徒への期待を実験的に調査した結果、伸びるはずだと先生が期待していた生徒の成績は、約半年後には他の生徒に比べて高くなる傾向が示されました。同じ成績結果でも先生が「あなたはできるのだから、頑張りなさい」と暖かい励ましを受けた生徒の方が「あなたは頭が悪い、やっても無駄だ」と言われていた生徒よりも優秀な成績を収めたというわけです。
●内発的動機づけに大切な要素●
勉強して学ぶことや人間関係の大切さ、社会的ルールの意味などを知ることで、自ら内発的な好奇心や探求心を起こす。また自分で課題や目標を設定して、達成しようとすることです。楽しいから、やりがいを感じるからやっているなど外側からの動機づけを必要としない状態です。
内発的動機づけに大切な3要素
①自己決定感
(自分で主体的に決めたことをやっているという自覚を持つ)
②他社受容感
(他者理解、自分の立場だけでなく、相手の立場になって考えられる視点を持つ)
③交流感
(自分は周囲の人と親しくかかわる。自分は周囲の人から受容されている。と思う気持ち)
やる気が出ない、継続できないという時には、その動機が外発的動機づけなのか?それとも内発的動機づけなのか?というのをチェックすることです。
<チェック方法として>
「その事は、頼まれなくてもやりたい事ですか?」
「その事は、お金を払ってでもやりたい事ですか?」
自分の外側からやってくるものではなく、自分の内側から湧き上がってくる興味や意欲が「やる気」や「継続」の元になります。外発的動機づけが影響を及ぼし内発的動機づけとなる場合もあります。やる気を長続きさせるためには、外発的動機づけ内発的動機づけのどちらも持ち合わせることが大切です。